本剤投与後の排便タイミングと回数を検討した海外報告1)では、「1回目投与」後の最初の排便は1.5±1.3時間に、最後の排便は5.4±2.5時間に認められ、排便回数は4.4±2.7回でした。

服用スケジュール別の排便状況（海外データ）1)

		排便時間（hr）		排便回数（回）
		初回排便	最終排便
1回目投与後（n=100）		1.5±1.3	5.4±2.5	4.4±2.7
2回目投与後（n=100）	「分割投与」症例（n=32）	0.9±0.8	3.85±1.0	4.5±2.4
	「前日投与」症例（n=68）	1.25±1.3	9.6±4.6	6.5±3.2

mean±SD

服用スケジュール別の最終排便時間（海外データ）1)

1. Vanner S, et al., Can J Gastroenterol. 2011; 25: 663-666.

分割投与においては、2回目投与は「検査（手術）の4～9時間前」に行うこととしています。投与終了から検査（手術）までの時間が短すぎると本剤の効果が期待できないこと、また、空きすぎると腸管内に分泌物等が貯留し観察しにくくなるためです。なお、海外報告1)では、4～6時間空けるのがもっとも高い効果となりました。

海外添付文書や国内臨床試験でのプロトコールに準じて設定しましたが、本剤の最大効果が期待できるのが4～6時間程度であるためです。

検査（手術）が午後の場合は「分割投与」を行うよう添付文書に記載しています。これは本剤2回目投与から検査（手術）までの時間が空きすぎると、腸内に分泌物等が貯留し腸管内が観察しにくくなるためです。午前の観察よりも午後の観察において、前日投与が分割投与に比べ有意に洗浄効果が低かったとの海外報告2)があります。

2. Flemming JA, et al., Gastrointest Endosc. 2012; 75: 537-544.

透明な飲料として水のみを摂取することで電解質異常が生じる可能性があるため、総飲量の半量以上は電解質を含む飲料（お茶やソフトドリンク等）を飲用ください。電解質が含まれない「水のみ」の摂取では、腸管の浸透圧低下により体内から腸管へ電解質が移行し体内の電解質濃度が低くなるなどの電解質のバランス異常が生じる可能性があります。
なお、本剤投与時の透明な飲料として「水のみ」または「経口補液」を飲用した際の有害事象発現率を比較検討したところ、差は認められなかったとの海外報告3)がありますが、大量の水のみを摂取し強直間代発作が発現した海外症例4)があることから、注意が必要です。

3. Lawrance JA, et al., Clin Radiol. 1994; 49: 35-37.
4. Lewis M, et al., BMJ.(Clinical research ed.) 1997; 314: 74.

本剤は2つの異なる作用機序による腸管洗浄効果を有するため本剤自体の服薬量は少量であるものの、腸内容物を物理的に腸内から排泄させるため、別途「飲料水の摂取」が必要です。本剤服用後に多量に透明な飲料を飲用することが本剤の効果等に寄与するとガイドライン5)に記載されています。

5. Turner D, et al., Endoscopy. 2010; 42: 1063-1070.

本剤の成分は「ピコスルファートナトリウム水和物」「酸化マグネシウム」「無水クエン酸」ですが、水に溶かすと、酸化マグネシウムと無水クエン酸が反応してクエン酸マグネシウムになります。この反応によって熱が発生します。

炭酸水素カリウムを発泡剤として添加しているためです。一般的に、発泡剤は成分の拡散や顆粒の崩壊促進を促します。

本剤は水に溶解することで有効成分である酸化マグネシウムと無水クエン酸が反応し、活性成分のひとつであるクエン酸マグネシウムとなって効果を発揮することから、水に溶解して服用します。お湯やソフトドリンク等で溶解することは避けてください。溶解時の発熱や他の成分による溶解への影響が考えられます。また、コップに水を入れてから本剤を加えてください。コップに本剤を入れてから水を加えると、少量の水と本剤が混ざることでより強い発熱が生じる可能性があります。

本剤は、刺激性緩下剤であるピコスルファートと、浸透圧性緩下剤であるクエン酸マグネシウムとの組み合わせにより、強力な瀉下作用を発揮します。合わせて、腸内容物を物理的に腸内から排泄させるため、別途「透明な飲料」を摂取しています。これらによって、十分な洗浄効果が認められています。
国内第Ⅲ相試験6)では、腸管洗浄効果はナトリウム・カリウム配合内用剤に対して非劣性であることが確認されています。

6. 社内資料：国内第Ⅲ相試験（J-CLEAR）［承認時評価資料］［フェリング・ファーマ依頼実施治験］