手術中の脳は痛がっている? - 痛みとブラジキニン
先取り鎮痛作用とブラジキニン
術後疼痛においては、手術にともなう持続的な痛み刺激により中枢神経系の痛覚過敏状態(感作)が強く影響しています。全身麻酔は意識がないので、痛みを感じていないように思われがちですが、実は痛みの情報は脳に到達しているのです。つまり、脳は痛みを感じ、それを記憶しているのです。そこで、術前に鎮痛薬、局所麻酔、オピオイドなどを用いた鎮痛処置を施しておくことを先取り鎮痛といいます。
先取り鎮痛による末梢あるいは中枢神経系の感作を阻止することで、脳は痛みを感じることなく、術後の疼痛が軽減されるのです。
マウスの実験でブラジキニンB2受容体拮抗薬による先取り鎮痛効果が確認されました
マウスの足底の皮膚と筋膜を切開する「術後疼痛モデルマウス」に、ブラジキニンのB2受容体拮抗薬(HOE-140)を投与すると、明確な先取り鎮痛効果が確認されました。
したがってB2受容体に対して作用する化合物には、手術前投与による手術後の先取り鎮痛効果が期待されます。
なお、この先取り鎮痛効果はCOX-1選択的阻害剤(SC-560)やCOX-2選択的阻害剤では確認されませんでしたが、ブラジキニン誘発の疼痛を抑制するザルトプロフェンは明確にこの先取り鎮痛効果を示します。すなわち、術後疼痛のスイッチを入れるのはブラジキニンなのです。
